遺言をした者は、いつでも遺言を撤回することができるとされていますが、遺言の撤回は遺言の方式に従って行われなければならないとされています。

また、以下の場合には遺言を撤回したものとみなされます。

①前後の遺言の内容が抵触するとき(民法1023条1項)

前後の遺言が内容的に抵触するときは、その抵触する部分について撤回したとみなされます。

ここでいう「抵触」とは、後の遺言を実現しようとするときは、前の遺言の執行が不可能となる程度に明白に矛盾することをいうとされています。

②遺言の内容と生前処分が抵触するとき(民法1023条2項)

例えば、不動産をAに遺贈するという遺言を作成した後に、不動産をBに売却したときには、もはや遺言の内容の実現が不可能になるため、かかる状況を自ら招いたからには遺言を撤回したとみるのが相当であるということで定められた規定です。

③遺言者が故意に遺言書又は遺贈目的物を破棄したとき(民法1024条)

遺言をした者が自ら遺言書、遺贈目的物を破棄したのだから、もはや遺言の効力を生じさせる意思はないと考えられ、かかる場合には遺言を撤回したものとみなされます。